邂逅
HRを終えて担任は早々に教室を後にした。


それと同時に皆が光くんを囲む。


何処から来たの?とか転校生への質問100なんて本があったら全部載っていそうな質問を投げかけるクラスメイト。


それらに無機質に答える彼。


もう少し愛想良くしたら良いのに。


そう感じる程素っ気ない。


「亜月も群れの中突入した」


呆れ顔のすぅが私の隣に座る。


私は最前列目指して突き進むあづが面白くてクスリと笑った。


「朝から元気だね」


彼との会話に入らなかったのは私とすぅだけだった。


休み時間毎に質問攻めをくらう彼は今のところ人気者らしい。


あづもめげずに毎時間話しかけに行っていた。


その度すぅと笑った。


楽しそうだな、と目に涙を溜めて笑うすぅ。


放課後になるというのに皆の熱は冷めないらしい。


「ごめん。私、委員会あるから先帰ってて」


私は両手を合わせて謝ると足早に委員会へ向かう。


すぅ帰れたかな?


あづが諦めるのが先か、すぅが引きずり出すのが先か。


2人を想像していたら面白くて笑いそうになる。


笑いの絶えない人たちだなあ。
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