溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
真香side
「真香さ,前……真理さんに当たりすぎちゃって,怒ったじゃん」
「そうだね,でもそもそも私も悪かったから」
しゅんと,歩きながら安定のポニーテールを揺らす美希。
私はそんな美希を元気付けるように,からからと笑った。
「私だって,分かってるけど」
「ここ来る前に何回かあった集まりでも,ずっとギクシャクしてたね」
私が意地悪く笑うと,美希は
「う……」
と顔を歪めた。
「だって,真理さんたまに私のことちらって見るんだもん。突然そうされると,今なんじゃないかなって焦っちゃって。それでいて真理さん,何か言うわけでもないし……」
真理は好奇心が結構あって,黙って色んな出来事を眺めている節がある。
けれど,内向的な真理は,興味を抱いてもそれで終わり。
美希に声をかけることはない。
「だから言ってるでしょ? 言いたいことあるなら,声かけたら良いんだよ。そもそも真理,あの時の事なんてもうちっとも気にしてないんだから」
それどころか,多分勘違いしてるよと美希に伝えると,美希は拗ねた顔で私を見た。