溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
「今言ったじゃん。先生達が,迷子だー! ってなったら恥ずかしいんだよ。真香だって追い掛けてきただけなのに……次昼飯なんでしょ? 卵焼きちょーだい」
お気楽で,バカな千夏。
その上,私が死んじゃいそうなくらい鈍感。
私が必死に伸ばし続けている手を,"何かよく分かんないけど"なんて言葉で受け止めてしまって。
ずっとこの気持ちを持ったまま,決して口にしない私を。
幼馴染みを最大限に有効活用しているずるい私を。
こんなにも近くに置いているくせに,千夏は絶対に気付いてくれない。
私のメッキは,もう剥がれ始めてるのに。
私は最後に,泣きたくなんてないのに。
どうして真理なの?