溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「ちょっと彩奈さん空気読もうよ。俺だって黙ってんのに……！　ほんと食い意地はってんだから！」

「は？　誰の食い意地がはってるって？　だってもう良いんでしょ？　ぎくしゃくしてても仕方ないし，そうゆう空気，私苦手なんだけど」

「知らね～よ！！！！」

「空気読めんとか，あんたに言われんわ！！　私はね，読んだ上でもう充分と思ったの！　見てよほら，皆食べ始めてるし，時間も有限なの！！」

「ほらやっぱ飯の心配しかしてないじゃん！」

「は～？！」

「ほんとのことじゃん！！！！」



風船が弾けるように，言い合いを始めた森くんと堀さん。

同じクラスなだけに，とても仲が良く，驚いた周りもくすくすと笑っている。



「あーごめんごめん。じゃ，あたしら戻るから」

「え～？　なんでよ！　あゆなも食べよ！」

「で，でも，ほら。私達班違うし，真理さんも，その……いきなりは困るよ」