溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。



チラリと私を確認した心優さん。

ごめんねと今にも謝って来そうな下がった眉に,私も再度慌てる。

困るだなんて,そんな。

少しも思ってないのに……

寧ろ,いてくれた方が……

でも,言わなきゃ伝わらないと,私は会話を遮って声をあげた。



「あっあの! 私は,困らない,って言うか……その,もし良かったら,少しだけ,仲良くなれたらなって,思い,ます」

「ま,真理さんがいいなら,まぁ,うん」



あゆなさんは恥ずかしそうに目をそらして,座り直してくれる。



「水上さんも……いい?」



私が見上げると,水上さんはきゅっと唇を結んで,ふんっと顔をそらした。



「別に,元々そのつもりだったし……真香の友達は,私らの友達,みたいなもんだし」



こちらも機嫌が悪そうには見えなくて,私はほっと息を吐く。



「あの,私呼び捨てでいいよ。敬語も,ちょっと慣れなくて……」

「ほんと?! じゃあ……真理ちゃんでも,いい? 私も心優でいいよ!」

「……よろしくね! 心優……ちゃん」

「うん! 一杯ごめんね」



ぱっと顔を上げた心優ちゃんは,にこっと笑顔を向けてくれて,私も安心した。

それは嫌だと言われたらどうしようかと,緊張したから。
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