溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
帰りも行きと同じ様に,私は無防備にも寝顔を晒して。
バスが停まったのを感じて,起こされるまでもなく目を開いた。
微睡む意識を感じながらバスを降りると,少しはなれた場所に凪がいる。
待ってたのかな。
私の意識は覚醒して,もうこのまま解散だと知っている私は凪に駆け出した。
「真理,おかえり」
「うん……ただいま」
凪の顔を正面から見上げて,顔がほかっと赤くなる。
不思議そうにした凪に何でもないと返して,私は帰路を促した。
……うん。
私は……凪がすき。
凪の事が,好き。
凪はほんとは,私の事どう思ってる?
年下の女の子としか,思ってない?
ーなんて,聞ける勇気があれば良かったのに。
凪のためにならないって分かってるのに,一緒にいられるならこの関係も,手離したく無くなってしまうから。
でも,問いかけの答えが分かってるから……今はまだ,聞けない。