溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
千夏視点 ー幼馴染みの女の子ー
「だーっもう疲れた~!!!」
広さそこそこの,人気の多い公園。
俺より先を進んでベンチへとよろけた真香に続き,俺も横に座る。
俺が座ると,場所を開けるように真香が横にずれて,俺はそれを無言で見た。
ちっちゃい時は拳1つ分の距離なんて,2人とも近いなんて思いもしなかったのに。
いつからか真香は,もう2つ分開けて座るようになった。
「もうさ,ばっかじゃないの千夏。バッティングは1ゲームだけで,後はコインにしようって言ったのに」
この負けず嫌い!
真香はムッと俺を見て,そのまま大笑いする。
「真香だって3戦目負けた時,もう1回って言ったじゃん」
「……でも最初は千夏だったし」
今日は朝から,映画と銭湯とボーリングとコインとアームとバッティングが揃った施設に出掛けていた。
住み慣れたこの場所には,その近くに古ぼけたカラオケがあるくらいで他には何もないため,昔からそこは地元の子供の遊び場となっている。