溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
腹一杯の声で叫ばれて,俺は戦いた。
「う,ん。そっか」
「わ,たし! 千夏が,千夏が好き……! ずっと,好きだったんだよ……」
お湯が吹き零れる様に,熱く落ちた真香の告白。
言っている今も,凄く苦しそうで。
罪悪感みたいな感情が,胸にまっすぐ刺さってくる。
「……え」
遅れた俺の反応も予想通りのように,真香は気にも止めなかった。
「男女の友情は……っ。あるよ,ある。けど,私はもう,千夏のこと大好きだもん。ずっと黙って,側にいたんだもん」
真香が俺をって,俺が理解する前に突き付けてくる。
1番近くにいた幼馴染みが,薄く膜を張った瞳で俺を見上げる。
でも,俺は……
「だから,真理のとこには行かせない……! 今まで通りじゃダメだから,今までみたいな遊び方はやめる……!」
諦める気なんて無いって,真香は声高に宣言した。
見た目も,言動も。
俺から離れたいんじゃない。
寧ろ,そんなのは逆で。
「私の出来る1番可愛いで,1番いい女の子で,行かせて貰うから……ね,うん。えっと」
突然おろおろと目を泳がせ始める真香を見て,今度は俺が逆に落ち着く。
「千夏の幼馴染みは,もういない,から。ごめん」