溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。




適当な服に,髪も少しといただけで出掛けた私。

坂の無い平坦で楽な道を15分も歩けば,いつものあのコンビニがある。

レジの横にはそろそろ売り上げが上がっているだろう肉まんがあって,おでんも美味しそうに色付いていた。

お金と商品を交換してコンビニを出ると,有料化した袋の中にはアイスが3つ。

いちご味のアイスの玉と,抹茶アイスと,普通のパルン。

それぞれ私とお母さんとお父さんのアイスだ。

本当はお菓子も買っていいと渡されたものだったけど,私は2人のアイスを買った。

凪の分だって,買ってもきっと怒られなかったけど。

今日は久しぶりに凪がいないから。

友達の家に誘われた凪の分まで,わざわざ買って帰る理由はない。

この時期,そんな短時間でアイスが溶けることはないと分かっていても,急ぎ足になってしまうのは何でだろう。

そんな事を思いながら袋をちらつくアイスを眺め,帰路に付く。

うぅ……

寒い。

冷たい風,冷たい空気。

お母さんが言っていたように,もう11月も終わりそうだということを改めて感じた。



『ねぇ? クリスマス,ほんとに空いてないの』



ずいぶん楽しそうな大人な声。

少なくとも凪と同じくらいか,それ以上。

……クリスマスかぁ。

そっか,あと1月すればクリスマス。

つまり,冬休みももうすぐと言うこと。

真香さんに誘われているから,実は楽しみだったりする。

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