溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
祖父母のうちは遠く,1人では行けない。
お母さんの同僚兼友達の家は,1人で行くには気が引ける。
その上何の予告もなく消えられて,それは私が期間も分からないまま1人で暮らさなければならない事を意味していた。
ふらふらとキッチンへ向かう。
「真理?」
不思議そうな凪も,後ろから付いてきた。
冷蔵庫をガチャリと開ける。
「今日だけなら…なんとか」
私が深刻な面持ちで呟くと,凪が吹き出す。
「凪,ひどい」
「だってあんまり真剣に言うから…ふっ」
凪はお腹を抱えて笑うと,目の端をぬぐって見せた。
私はむっとして頬を膨らます。
私の一大事なのに。