溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
少しだけ軽くなった心に罪悪感を覚えながら,私は深く息を吸った。

きっと,凪は赦してくれる。

凪はずっと,そういう人。

でも,ごめんね。

全部知ってて,それでも私に,謝らせて欲しいです。



「凪の気持ち,無視して,嘘にして。なのに,上手に甘えられなくて……ごめんね」

「ぇ……」



あぁ,言えた。

私は,ほっとうるさい心臓を撫で下ろした。

まだ終わってないから,心臓がぎゅっといたい。



「私が,凪の事好きだったの,ずっと……。年上の凪も,優しい凪も,私だけ特別な凪も,みんな」



だからね,凪。



「私を,凪の彼女にして下さい」




ぺこりと下げて,ばっとあげる。

凪の前で頭を下げるのは,何か,少し違うと思ったから。

嫌だと言われたらどうしよう。

ここに来てまた登ってくる気持ち。

でももう全て口からでた後だからと,どきどきしながら凪を見た。
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