溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
そろそろと見上げると,凪は頬を薄く染めていて。

どこか嬉しそうにしながらも,泣きそうにも見えた。



「な,なぎ……?」



どうしたの?

そう紡ごうとした口が,凪の胸板に塞がれる。

強く抱き締められたことに気がついたのは,いつものふわりとした香りが鼻の前を通り過ぎた後だった。



「……僕が,言うはずだったのに……やっぱり真理は,かっこいいね」



嬉しそう。

それだけが伝わってくる声色だ。



「僕からも……真理,僕の恋人になってください」



囁くような告白が,胸にくすぐったい。

なるほど,好きな人からの告白は,こんなに嬉しいものなのかと私は上げることも出来ない右手をきゅっと握った。



「凪」

「なに?」

「好き」

「僕も」



言ってくれないの?

そう思っていると



「好きだよ,真理」



そう落ちてくる。

思わず笑みが溢れて,きゅっと凪の服を握った。
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