溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。


楽しそうに談笑とは行かないけれど,ポツポツと会話を交わしている。

凪はやっぱりフレンドリーな笑みを浮かべていた。

やっぱり,凪は変態だ。

こくりと頷く。

凪は……

私との登下校でも,いつだって隣で笑ってる。

夕食にだって,当たり前に座っているときもある。

私が食器を洗おうとしただけで,必ず止めてくる。

今年の誕生日も,プレゼントは朝一番に持って来た凪のが最初だった。

いつも私に優しくて,ひたすらに優しくて。

それは私がどう在ろうと関係ない。

そんなところがすごく気持ち悪い。

だから

やっぱり凪は変態なんだ。

弱音を吐くところなんて,見たことない。

その笑顔が崩れることなんて,1度もない。

水に浸けられた食器。

その一つの茶碗が傾いて,ピチョリと水が垂れた。

それを見て,ようやく戻ろうと動きだす。

と,私の前で食器を持って微笑む凪がいた。



< 3 / 196 >

この作品をシェア

pagetop