溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
黒板に書かれた役職名。

そこに,私達の名前が仲良く並んでいた。

……怖いなんて思って,ごめんなさい…



「よ…っよろしく……」

「おう!」



こんなに無邪気な人,見たことない。

力一杯の幼ささえ感じる笑顔を,私は改めてまじまじと見た。

凪と,正反対だ。

  

「あっあの…好きにしてくれればいいんだけど……名字呼び,慣れないから……」

「じゃあ,真理で!」



即返されて,心臓が跳ねる。

勝手に名前呼びする人はいても,さっきの今だ。

なんだか予想できてなくて,びっくりした。

 

「俺も千夏でいいよ」

「分か…った。千夏…くん」
 


間の多い話し方から,コミュ力の低さがうかがえる。

それでいいとずっと過ごしてきたけど,流石に直さなくてはいけない。
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