溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
いつもみたいに聞かれなくても,自分から話す私。

今日はいつもと違って,ちゃんと話したいことがあったから。

うっかり文化委員になったことを話したら



「大丈夫?」



と私が嫌がりそうだと心配してくれて。

変なクラスメートと一緒だと話したら,謎の間の後。



「良かったね」



とニッコリ笑ってくれた。

私を見てくれる凪に今日は



「席替え,どうせなら千夏くん近いといいな」

「…」


 
女子生徒の……そして先輩の視線も,存在も。

なんにも気にならなくて。

いつもよりほんの少し,帰り道が明るい気がした。
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