溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
「千夏くん。どうしたの? 今ちょっと…」



取り込んでて。

そう言うのがなんとも恥ずかしいことに思えて,私は苦笑いを浮かべた。



「こっち終わったから! 手伝いに来たんだよ…な?!」



そう言う千夏くんの後ろには,女子2人と男子1人。

明らかに連れてこられただけですという顔をしている3人は,千夏くんの言葉に初耳ですという顔をする。

けれど,私と目が合って。

3人は人のよさそうな笑みを浮かべた。



「んーと,らしいので,よろしくです」

「だね~」

「やるかー」



何したらいい?

と口々に聞かれて,私の口は逆に引き閉まる。



「おい! ⚪⚪,⚪⚪! いつまでもサボってんなよな~! あと誰か⚪⚪知らない?」

「あー。あいつなら自販機」

「おっけーありがと!」


ぞろぞろと,人が集まってくる。

ゲームをしていた人も,友達にからかわれて。

おかしそうに戻ってくる。
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