溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

王子様のキス

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凪の番だ。

等間隔で並べられた椅子の1つに座っている私は,人知れず呟く。

『白雪姫』

と,女性のナレーションが始まった。

昨日の夜絵本を読み返していた私は,キスシーンじゃないなら凪はいつだろうとワクワクしていた。

やっぱりストーリーはオリジナルの様で,物語は(王子様)と白雪姫から始まる。

ある日白雪姫は,身分を隠した王子と出会う。

王子は白雪姫にプレゼントをしたり,町でデートをしたりする。

そうやって白雪姫と親睦を深める王子が,凪だ。

案外セリフも多い。

白雪姫の人も堂々としていて,とても綺麗だった。

『結婚を前提に』

そう約束した2人。

けれどその夜……

鏡へと真面目に話しかける奇怪な継母によって,白雪姫は木こりに拐われてしまった。
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