桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
「正悟さん……良いの?私、こんな傷があるのに……」
「ん?まだそんな事を言うのか?それからもう誰にもこの傷を見せてはいけない。俺以外には、いいな?」
美桜はその言葉にコクコクと首を縦に振った。
もう誰にも見せない。
正悟さん以外には、絶対に!
「いい子だ。愛してる」
正悟さんが優しく響く声で囁き、心が温かくなった。悲しんでいたことも、悩んでいたことも、全てがどうでも良くなってしまう。
「正悟さんはずるいな……」
「ずるい?」
「うん……その声で囁かれると、何も考えられなくなっちゃう。何でも許しちゃう」
「そうなのか?それなら俺が美桜に酷いことをしても、この声で囁けば許してくれるのか?」
少し悩んでから美桜が微笑んだ。
「正悟さんは酷いことなんて、しないでしょ?」
「それは、どうだろうな」
クイッと楽しそうに口角を上げる正悟の優しい笑顔に、美桜は見惚れた。
正悟さん、格好良すぎるよ。