桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。


 俺を受け入れる準備が出来た美桜の中から手を引き抜き、俺の中心で暴れ狂おうとしているそれをあてがい、ゆっくりと美桜の中に侵入させる。それまで脱力していた美桜の体に一瞬力が入ったのが分かった。

「ゆっくり入れるから大丈夫だ」

 すると美桜が俺の首に両腕を巻き付けるように抱きついてきた。またしても美桜の可愛すぎる行動に、一気にそれを入れてしまいそうになるのを我慢して、ゆっくりと挿抜しながら奥へと進んでいく。時間をかけて奥へと目指し突き進んで行きながら、美桜の様子も確認する。痛々しげに目を瞑る美桜の額や頬、目尻などに何度もキスをし、痛みが和らげられないかを考える。そんな俺の様子を見ていた美桜が、痛みと闘いながら頬に触れてきた。

「私なら大丈夫です」

 健気な美桜は本当に男を煽るのがうまい。しかし今は止めて欲しかった。奥歯を噛みしめ、思いっきり腰を打ち付けたい気持ちを我慢し続ける。

 もう少しの我慢だ、もう少し……。

 時間を掛けて……。

 それから、やっと奥までの侵入を許してくれた美桜の体を抱きしめる。時々俺の分身をキュッと締め付けてくる美桜を上から眺めた。まだ痛みがあるようだが、少しずつ俺になじんできたように感じる。

「そろそろ動いても良いか?」

「大丈夫です。正悟さんの好きなようにして下さい」


 だからそういう言葉は止めて欲しいと思うのだが、美桜を咎めるつもりはない。美桜なりに俺を気遣っているのだろう。美桜の様子を窺いながら、そっと腰を動かしてみると、その気持ちよさに我を忘れそうになり、唇を噛みしめ浅い呼吸を繰り返す。気持ちがいいのに苦しい。拷問の様な状態に目を瞑り耐えていると、俺の後頭部を撫でながら美桜が潤んだ瞳で見つめてきた。

「正悟さんを……っん……下さいっ……んぁっ……沢山っ……動いて……」

 途切れ途切れに訴えてくる美桜の言葉の合間に、官能的な声が漏れる。そんな風に言われ、俺の理性の糸がプツリと切れた。それからは無我夢中で、美桜を求め腰を振り続けた。


 ああ、美桜……愛している。

 これからもずっと君だけを愛いし続ける。



 俺は美桜をやっと手に入れたんだ。




< 117 / 137 >

この作品をシェア

pagetop