桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。


 男は何も言わずにエコーを未来の胸に当て心臓の動きや収縮、弁の動きを確認していく。そしてハーっと息を吐き出した。

「カテーテルアブレーションが必要だ。カテーテルの準備は出来るか?」

「カテーテルアブレーションって……」

 用意は出来るけど……。

 美桜は戸惑った。医療に精通しているように思える目の前の人物を、どこまで信用して良いのか分からない。

「時間が無い。早くしろ!」

 男の言葉に促されるよう、美桜は体を動かした。処置用のテーブルにカテーテル、消毒、局所麻酔、ピストンといった必要物品を用意していく。その間に手を綺麗に洗い終えた男が戻ってきた。

「あの……手袋のサイズは?」

「ああ、7半で」

 7半!!

 大きい。

 ドクターが手術や処置などで使用する手袋にはサイズがあり、細かく設定されている。ピッタリとしたサイズの物を使用しないと細かい作業がしにくくなってしまうからだ。






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