桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
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「すっかり遅くなってしまいましたね」
「ああ、仕方が無い。母さんには電話で説明したから、大丈夫だ」
二人は歩きながら正悟の実家へと向かった。正悟の家へと着くと、玄関前で美桜達を心配した正悟の両親が立っていた。
「正悟、良かった。電話で説明してもらったから、そんなに心配して無かったけど、直前で美桜さんに振られたんじゃないかと……」
正悟の母親の言葉に、やれやれと言った様子で正悟の父親が話し出した。
「だから、大丈夫だと言っただろう。お前は心配性なんだから」
「だってこの子ってば、愛想は無いし、普段はむさ苦しいだけじゃない」
「確かにそうだが……」
二人の会話に思わず、正悟が割って入った。
「おい!」
その声に正悟の両親はキョトンとした。
そんな正悟の両親を見て、思わず美桜は吹き出した。
「ぷっ……てっちゃんも、あーちゃんも相変わらずだね」
サラッと美桜の口から飛び出した言葉に、正悟の両親は目を見開き、正悟に視線を向けた。すると、正悟は無言で首を左右に振った。俺は何も話していないと……。