桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
天才心臓外科医?
*:*
次の日の朝。
もうすぐ朝の申し送りが始まろうとしていたのだが、その準備の最中に福田がやって来た。
「美桜さん聞きましたよ~。昨日、今日から務める先生にお姫様抱っこしてもらったって~。見たかったな。美桜さんがお姫様抱っこされてるところ」
二ヒヒッと、こちらをからかうように笑う福田。
「ちょっとそれ何処情報よ」
「え?みんな知ってますよ」
周りを見れば、みんながこちらをチラチラと気にしているのがわかる。病院は女性率が高い。そのため面白い噂話なんかは、あっという間に広がってしまう。今や私が樋熊先生にお姫様抱っこされたことは、病院中の人々が知る話なのだろう。
この事件は、私の黒歴史となることは必須。
ひゅるる~と、私の回りにだけ冷たい風が吹き、チーンっと、魂が抜けたとき、談話室の方から泣き声と悲鳴が聞こえてきた。