桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
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昼休憩中、休憩室にてナース達から戸惑いと、がっかりとした声が聞こえてきた。
「はぁーー。がっかりじゃない。ドイツから来る天才ドクターに期待してたのに」
「そうそう。絶対イケメンだと思ってた」
「夢と現実を見たわ」
まあ、そうだろう。漫画や小説なら天才ドクター=(イコール)イケメンというのが相場だろうが現実とは違うものだ。イケメン天才ドクターとの恋を夢見ていた独身ナース達から溜め息が漏れる。
しかし、それは仕方の無い話なのだろう。ナースの仕事は時間が不規則なうえ、忙しく病院の外での出会いは難しい。どうしても院内での出会いを求めてしまう。入院患者さんとの恋とかは無いの?なんて良く聞かれたりするが、患者は患者でしか無く、恋愛対象にはならない。整形などの骨折の患者さんならまだしも、病名のわかっている人に恋って……。やはり患者としてみてしまうだろう。