桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
「コホンッ」と、美桜が場の空気を変えようと咳払いをしてみせる。
「ほら、もう休憩時間終わりだよ。切り替えて」
「「「はーーい」」」
気だるげに返事をしたナース達だったが、一度ナースステーションに出れば、その表情は変わる。テキパキと仕事をしていくナース達。
プロだなと美桜は思う。
そんな事を思いながら、ふと窓の外を見ると11月下旬だというのに温かい外の陽気が気になった。寒くなって来たため、最近子供達は外に出ていない。
「あっ……そうだ」
美桜は医局へ向かうとドクター達に相談した。子供達を外で遊ばせたいと。これから更に寒くなってくれば、春まで外に出られないかもしれない。最後のチャンスかもしれないから。
美桜の話を着ていた高津は机に肘をつき、悩んでいる様子だったが、まあ良いだろうと了承してくれた。しかし、ここで言葉を濁す。
「306号室の丸岡唯人(まるおかゆいと)くんは無理だな……」
「唯人くんですか……。そうですね。今回は我慢してもらいます」