桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
それを聞いていた正悟が眉間に皺を寄せ「まずいな……」と呟いた。
美桜も正悟と同じ意見だった。このままではまずいと。そんなに興奮しては心臓に負担がかかってしまう。
正悟をチラリと見てから紬に視線を向けると、苦しそうに胸を押さえた紬が崩れるようにして倒れていくのが見えた。
発作だ。
「紬ちゃん!」
美桜と正悟は紬に駆け寄りると、薄らと瞳を開いた紬が手を伸ばしてきた。
「美桜、おねえ……ちゃん……ひな……ちゃん……を……」
「うん。ひなちゃんは大丈夫だよ。私が見ているから」
その言葉に安心したのか、紬が意識を手放してしまった。
「坂口さん、俺はこのまま処置室へ向かう。PHSで処置室の準備頼んだら、原陽希さんのフォロー頼む」
「はい!」