桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。


 *::*


「美桜さん……紬は大丈夫ですか?」

 紬が屋上で発作を起こした次の日、陽希が心臓外科病棟のナースステーションにやって来た。

「紬ちゃんなら大丈夫よ。さっきもお昼完食してたから」

「そうですか……」

「紬ちゃんの所に行くんでしょう?」

「…………」

 陽希は足下に視線を落としたまま固まった。

 陽希はいまだに悩んでいた。

 自分は紬に会う資格があるのだろうか?

「ひなちゃん大丈夫よ。ほら、顔を上げて、行ってらっしゃい」

 美桜に背中を優しく叩かれた陽希は重たい足を一歩踏み出すと、紬の部屋へと向かって歩き出す。

 紬のいる病室の戸を三回ノックすると、中から「どうぞ」と言う、可愛らしい声が聞こえてきた。




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