桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
そうだ……。
母親に優しく頭を撫でられ、愛される紬が羨ましかった。
私は母親にも、父親にも愛されなかったから……。
手首を切ってでも、親の愛を確認したかったのに、待っていたのは赤の他人のような母親の反応で、絶望しかなかった。そんな私に手お指し述べてくれた紬。
紬はいつの間にか、私の中で大きな存在となっていた。
「紬は何も悪くない。悪いのは私だよ」
紬が泣きながら陽希の手を取った。
「ひなちゃんには紬がいるよ。お父さんやお母さんの代わりにはなれないけど、紬がいる。それに美桜おねえちゃんもいる。『生きることを諦めるな』って……これは自分に言ってることなんだよ。ひなちゃん、私と一緒に生きよう。私頑張るから……ひなちゃんも生きて!」
紬と一緒に生きる……。
そうだ……。
生きよう。
私はお母さんのために死ぬんじゃ無くて
自分のために生きよう。