桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
一筋の光が差したような気がした。死ぬことを強要されたわけでは無かったが、そうせざる終えないと思っていたから、生きようと前を向いたことで、縛られていた心が解放された気分だった。
心が温かくなって、勇気が湧いてくるようだった。今なら何でも出来る気がした。
泣きじゃくる紬の手を握りしめ、陽希が吹き出した。
「ぷっ……、紬……酷い顔、それに……」
「酷い顔って……ひどい。ひなちゃんだって、鼻の頭真っ赤だよ。それにって、まだ何かあるの?」
頬を膨らませながら怒る紬。
「えっと……さっきの紬の『私と一緒に生きよう』って台詞、プロポーズみたいだったなって思って」
「…………」
何も言わず口をパクパクとさせながら真っ赤になっていく紬の顔。その顔が可愛くて、陽希は破顔したのだった。