桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
気づいた思い
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紬の母親から報告を受け、紬と陽希の様子を廊下から見守っていた美桜は、両手で口を覆い涙を流した。
良かった……仲直り出来てホントに良かった。
そんな美桜の後ろに黒く大きな陰が近づいてきた。
「立ち聞きか?」
「ひょぇーー!」
優しく響く声……振り返らずとも、この声の持ち主が誰なのかわかる。最近やっとこの声になれてきたと思っていたけれど、耳元で囁かれた正悟の声に、吐息が混ざり鼓膜が震える気がした。
思わず変な声を出しながら仰け反った美桜は、囁かれた方の左耳を手で覆いながら正悟を睨みつけた。顔に熱が集まり、鏡を見なくてもわかる。きっと私の顔は顔真っ赤に染まっていることだろう。
「樋熊先生!後ろから急に声を掛けてくるのは止めて下さい。ビックリするじゃ無いですか!さっきまで寝ていたのにどうしたんですか?」
美桜は紬の部屋の中にいる二人に気づかれないよう、小さな声で声を荒げた。
もう、無駄にイケメンボイスなんだから。
そっと、正悟に視線を向けると、口角が少し上がっている。先生も二人のことを気に掛けていてくれてたんだ。そのことがうれしくて、美桜は微笑んだ。