桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。


 *::*


 あれから正悟さんがやばいんです。

 どう、やばいかって?

 それは見れば分かると思うんだけど。


「美桜おいで」

 ソファーに座っている正悟さんが、両手を広げて私を待っている。正悟さんの素顔がイケメンさんと分かったあの日から、私の心臓はドキドキしっぱなしで……。今も、甘い表情で両手を広げる正悟さんにノックアウト寸前なんです。

「どうしたの?おいで」

 おずおずと正悟の腕の中に収まると、その腕が美桜の腰に巻き付かれる様な形で、抱きしめられる。

 そのまま正悟は美桜の胸に顔を埋め鼓動を感じている。それは妹の心臓がきちんと動いている事を確認しているようで、少しだけ切なくなる。

「うん。お前は今日も元気だな」

 うれしそうに心臓に声をかける正悟の頭を美桜は優しく撫でた。

「美桜……」

 顔を上げた正悟が、申し訳なさそうに眉を寄せている。

「ごめん……また、妹の……」

 正悟の謝罪の言葉を人差し指一本で止めた。



「大丈夫です」

 






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