公爵騎士様は年下令嬢を溺愛する
第11話 可愛いぬいぐるみ
カイル様がご帰宅される時間だと言われていたので、今日はカイル様に買って頂いたドレスで玄関に行った。
オーレンさんが、「お似合いです」と言ってくれて嬉しかった。
カイル様が扉を開けて帰って来る。
今はそれだけで胸が一杯だった。
玄関の扉が開き、カイル様が堂々と入って来る。
私にはカイル様の姿だけが目に入っていた。
「おかえりなさいませ、カイル様」
「今帰った」
カイル様が帰って来て、ホッとした。
お昼もお会いしたのに、会えることを心待ちにしていたのだ。
「カイル様、ヒューバート様もご一緒にお食事ですか?」
オーレンさんがヒューバート様声をかけ、私はヒューバート様がやっと目に入った。
「今日は三人で食事にする。それと……」
カイル様は、ボスッと私の目の前にぬいぐるみを出した。
「昼の礼だ。受け取りなさい」
両手一杯程の大きなぬいぐるみは、首にピンクのリボンが巻いてある灰色の狼のぬいぐるみだった。
「可愛いです。可愛い狼さんですね」
あまりに可愛いくて、ギュッと抱き締めた。
「カイル様……ありがとうございます」
「ヒューバートもいるから、このまま食堂に行こうか」
「はい」
カイル様からの贈り物が嬉しくて、しかもこんな可愛いぬいぐるみ。思わず、口元が緩みながらお礼を言った。
それを見たカイル様は、頭を優しく撫でてくれた。
食堂の席につくと、オーレンさんが私の椅子の横にもう1つ椅子をおき、ぬいぐるみを置かせてくれた。
私は椅子に座ったぬいぐるみが可愛いくて、食事中何度も見ていた。
カイル様を見ると笑顔でこちらを見ており、恥ずかしくなった。
「気に入ったか?」
「はい、毎日一緒に寝ます」
「そうか」
食事の後はカイル様はヒューバート様とお酒を飲むそうで、私は先に部屋に帰った。
部屋では、ハンナさんが待っており、新しいサイズピッタリのネグリジェを着せてくれて、髪をといてくれた。
「カイル様がぬいぐるみを? まぁ、良かったですね」
「はい、とても嬉しいです」
ハンナさんが、自分のことのように笑顔で話す。
「カイル様はお嬢様が気になっているのですわ」
「私がですか?」
「はい、お嬢様には初めてのことばかりしてますよ」
「……カイル様は私がお嫌いではないのですか?」
「まさか! その反対ですよ!」
ハンナさんがそう言ってくれたけど、カイル様からは聞いてない。
私がカイル様を好きだと言ったら追い出されるかしら?
言うのは怖い。
「さぁ、おやすみ下さい」
「はい、おやすみなさいませ」
優しいハンナさんが出ていった後、私は狼のぬいぐるみをずっと抱き締めていた。