この政略結婚に、甘い蜜を
（あれ、この辺りって高級住宅街？）

父の知り合いの社長や芸能人など、お金持ちしか住むことのできない地区に車はどんどん進んでいく。そして、ある一軒の家の前で車は止まった。洋風のおしゃれな二階建ての家である。

白いバルコニーがあり、広々とした庭には色とりどりの花が植えられ、車庫には一台の高級車が止まっている。

「この家がもう一つのプレゼントだよ」

父に言われ、「えっ！？」と華恋は驚いて表札を確認する。表札には確かに「花籠」と書かれていたが、一人で住むには広すぎる家だ。

「私、車の運転免許持ってないから車まで貰っても意味ないんだけど」

家を貰うだけでも困るのだが、免許を持っていないのに車のプレゼントはもっと困る。だが、父は安心してと笑いながら言った。

「この車は、家の中でもう待ってくれている華恋の旦那さんのものだから」

「えっ、何言って……」

父の言葉が理解できず、華恋は勢いよく家の門を開け、庭を走って通り抜け、玄関のドアを開ける。家の中はヨーロッパ調のおしゃれなもので統一されており、華恋がリビングのドアを開けると、そこには見知らぬ男性がいた。
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