この政略結婚に、甘い蜜を
「妻にアクセサリーをいくつかプレゼントしたいんですが……」

「えっ!?零さんのではないんですか!?」

いりません、そう華恋は言ったもののニコニコしながら店員はショーケースから宝石のついたネックレスやブレスレットなどを取り出していく。

「今日はどうしても華恋にプレゼントしたくてね。あっ、これすごく綺麗だね。アクアトルマリンだって」

零はそう言い、華恋にネックレスなどをつけて「どれも似合うね」と楽しそうにしているか、今日は華恋の誕生日でも何かの記念日というわけでもない。

「零さん、プレゼントは何かの記念日の時で結構です。結婚前に服などをたくさん買っていただきましたし、こんなに高価なアクセサリーを貰っても……」

華恋は慌てて零の手を掴むも、片方の手で頬を撫でられる。零の瞳を見れば、蕩けてしまいそうなほどの熱を帯びていた。

「華恋と一緒にいれば、毎日が記念日になってしまうよ。だからプレゼントしたくなったんだ」
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