この政略結婚に、甘い蜜を

10、ファーストキス

華恋が傑と時々会って食事をするようになって、三ヶ月ほどが経った。時間の流れは恐ろしいほど早い。

互いの休日が被った日、華恋は零と共に買い物に出かけていた。必要なものを二人で見て選び、街を歩く。お昼が近くなってきた頃、零が華恋の手を引く。

「華恋、ここのカフェで休憩しない？たくさん歩いたし」

零の視線の先には、木造のおしゃれなカフェがある。外には色鮮やかな花がたくさん植えられ、カフェは人で賑わっているようだ。

「素敵なカフェですね」

「うん！こんなところにカフェがあるなんて知らなかったよ」

零がドアを開け、華恋はお礼を言って先にカフェの中に入る。カフェの中にもたくさんの花が飾られ、とてもおしゃれな雰囲気だ。

「綺麗……」

カフェの内装に華恋が見惚れていると、零が隣で「そうだね」と頷く。零がカフェの中に入ると、おしゃれなスイーツや花に夢中になっていた女性客たちが一斉に零の方を向く。

「かっこいいね、あの人」

「でも、恋人さんいるんだね。残念。恋人いなかったらアタックしてたわ」