この政略結婚に、甘い蜜を
零はバターチキンカレーを、華恋はサンドイッチを注文する。数十分ほど話しながら待ち、テーブルにおいしそうな料理が並んだ。

「わあ、おいしそう……」

ずっと歩き回っていたため、華恋のお腹は今にも音が鳴ってしまいそうなほど空腹である。華恋が食べようとサンドイッチを手に取ると、「華恋」と零に声をかけられる。

「はい、あ〜ん」

零がカレーを華恋の口元に持ってくる。女性客から黄色い悲鳴が上がり、華恋の落ち着いたはずの顔の熱はまたぶわりと蘇るのだ。

「れ、零さーーーんっ」

恥ずかしいから、そう言って断ろうと華恋が口を開くと程よいスパイスの効いたカレーが入ってくる。

「おいしいものは華恋にも食べてほしくて……。嫌、だった？」

ジッと零に見つめられ、華恋は首を横に振る。恥ずかしさのせいでカレーの味などあまりよくわからない。

「カレーを貰ったので……」

華恋は皿の上に並んでいるサンドイッチを一つ取り、零に渡す。新鮮な卵が使われた王道のたまごサンドだ。
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