この政略結婚に、甘い蜜を
「ありがとう!いただきます」

零は嬉しそうにサンドイッチを食べる。そして、「おいしいね」と言いながらふわりと笑った。

「今度、朝ご飯にサンドイッチ二人で作ろうか?華恋の好きな苺の入ったやつも作ろう」

「フルーツサンドは、朝ご飯じゃなくておやつになりませんか?」

そんなことを話していると、かばんに入っている華恋のスマホが振動する。誰かから電話がかかっているようだ。スマホを取り出し、相手の名前を見て華恋は目を見開く。

「すみません、電話がかかってきたので……」

カフェの外に出て、華恋は「応答」をタップする。彼から電話がかかってくるなど、今までなかったため不思議に思う気持ちが華恋にはあった。

「五百雀くん、どうしたの?電話なんて初めてじゃない?」

いつも「食事を一緒に」という話はLINEでやり取りをしていた。華恋がそう言うと、「声が聞きたかったんや」とどこか恥ずかしげな傑の声が返ってくる。
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