この政略結婚に、甘い蜜を

数十分後、やっと顔の熱が引いてくれたため、華恋は支度をするためにリビングへと戻った。



いつも傑と会う時は、夜に食事やお酒を飲むだけだった。だが今日は「一緒に遊びに行こう」と傑から誘われたため、朝から会うことになった。

白いブラウスにチェックのスカートを履き、メイクをしたりしているうちに待ち合わせ時間が近付いてくる。華恋はかばんを手にし、家を出た。

待ち合わせ場所は渋谷の定番であるハチ公像の前ーーーではなく、カフェで落ち合うことになり、華恋は犬の絵が描かれた可愛らしい看板が目立つカフェの中へと入る。開店したばかりのため、カフェにいるのは三人ほどだけだ。

ピンク色の可愛らしい制服を着た店員に席に案内され、手作りのメニュー表をしばらく見てからミルクティーを注文する。数分後、華恋は花のイラストが描かれたティーカップに口をつけながら、傑が来るのを待つ。

待ち合わせ時間を五分ほど過ぎた頃、勢いよくカフェのドアが開く。

「ごめん、待たせてしもたな」