この政略結婚に、甘い蜜を
白いシャツの上に黒のテーラードジャケットを羽織り、白のスキニーパンツを履いた傑が謝りながら華恋の座っている席にやってくる。

「大丈夫よ。のんびりお茶が飲めるし」

ソーサーからティーカップを持ち、ニコリと微笑む華恋に傑は俯きながら、「何か奢るわ」と言いながら椅子に座る。

「えっ?別にいいよ?」

華恋はそう言ったのだが、少し席を離れた間にパフェを注文されてしまい、傑に見つめられながら食べることになってしまった。

パフェを華恋が食べ終えると、お会計を傑が済ませ、(華恋が財布を出すよりも早く傑がお金を出していた)映画館へと向かう。最近公開されたばかりの恋愛映画を見るためだ。

(異性の友達と見に行くのが恋愛映画って、少し変かしら?)

そんなことを思いながら、華恋は隣を歩く傑を見上げる。恋愛には興味のなさそうな傑が何故か「見たい」と言ってきたもので、華恋は好きな俳優が出演しているため、見ることにしたのだ。
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