この政略結婚に、甘い蜜を
ドリンクを買い、(ここでも傑が払ってくれた)席へと移動すると少しずつ部屋が暗くなっていく。そして映画が始まると、華恋は一瞬にしてそのストーリーに惹かれていった。
身分違いの恋をした二人が、互いの幸せのために別れを決断し、それぞれの道を歩んでいくというお話だ。映画が後半に近付くにつれて、華恋の胸が熱くなっていく。
(私が、もしも庶民のままだったら……)
零と出会うことも、結婚することも、零という人間を知ることすらなかった。そう考え始めるとふと怖くなり、苦しくなってしまう。
(どうして、こんなにも怖いんだろう……)
手を微かに震わせる華恋を、傑はただジッと見つめていた。
映画が終わった後、華恋と傑は街をブラブラと歩いて美術館やカフェなどを楽しむ。そして午後六時過ぎ、傑が「夕食も一緒にせっかくやで食べよや」と言い、零がいない家で一人で夕食を食べるのは少し寂しいと感じていた華恋は傑の言葉に頷いた。
「ほな、行こか。予約してあるねん」
「えっ、予約?」
身分違いの恋をした二人が、互いの幸せのために別れを決断し、それぞれの道を歩んでいくというお話だ。映画が後半に近付くにつれて、華恋の胸が熱くなっていく。
(私が、もしも庶民のままだったら……)
零と出会うことも、結婚することも、零という人間を知ることすらなかった。そう考え始めるとふと怖くなり、苦しくなってしまう。
(どうして、こんなにも怖いんだろう……)
手を微かに震わせる華恋を、傑はただジッと見つめていた。
映画が終わった後、華恋と傑は街をブラブラと歩いて美術館やカフェなどを楽しむ。そして午後六時過ぎ、傑が「夕食も一緒にせっかくやで食べよや」と言い、零がいない家で一人で夕食を食べるのは少し寂しいと感じていた華恋は傑の言葉に頷いた。
「ほな、行こか。予約してあるねん」
「えっ、予約?」