この政略結婚に、甘い蜜を

驚く華恋は傑に手を引かれ、駐車場に止められた傑の車に押し込められるように乗せられた。そして、数十分ほど車に揺られて到着したのは、最近建てられたばかりの高級ホテルである。華恋の胃がキュッと痛くなった。

「ここの最上階のフレンチ、めっちゃおいしいんやで」

傑はそう言いながら車のドアを開ける。華恋は戸惑いながら自分の服を見た。出かけるためにおしゃれをしたものの、高級フレンチを食べるのに相応わしい服とは言えない格好である。

「五百雀くん、私たちこんな格好だし……」

華恋はそう言ってホテルから離れようと思ったのだが、いつの間にいたのか笑みを浮かべたホテル従業員の女性に手を掴まれる。

「問題ありません。こちらへ来てください」

従業員に連れられてエレベーターに乗り、最上階のとある部屋へと案内される。そこには、たくさんのメイク道具やドレスが並んでいた。

「こちらでお好きなドレスをお選びください」

「は、はぁ……」