この政略結婚に、甘い蜜を
色とりどりのドレスはどれも美しく、目移りしてしまう。だがいつまでも傑を待たせるわけにはいかないと、華恋はリボンが腰の辺りについたレモンイエローの可愛らしいドレスを選び、メイクやヘアセットを従業員にして貰い、レストランへと向かう。そこにはすでに、タキシードを着た傑が待っていた。

「ごめんなさい、待たせてしまって」

「……別にええよ」

傑は頰を赤く染め、華恋から目を逸らす。だが、エスコートするために手だけは差し出してくれた。

「行こか」

「はい」

窓際の席に案内され、すぐに料理が運ばれてくる。カリフラワーとベビーリーフのフレンチサラダだ。

「いただきます」

手を合わせ、華恋はフレンチに緊張を覚えながら、フォークでサラダを口に運ぶ。甘酸っぱいフレンチドレッシングがおいしい。

「おいしい……」

華恋が微笑むと、傑がワインに口をつけて「せやろ?」と得意げに笑う。そして、フレンチサラダを食べ終わると一つずつ料理が運ばれてきた。
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