この政略結婚に、甘い蜜を
華恋の言葉に龍羽は顎に手を当てて考え始める。数分もしないうちに、龍羽は口を開いた。

「零は華恋さんを溺愛しているから、華恋さんが贈るものだったら何だって喜ぶんじゃないかな。深く考える必要はないと思うよ」

その言葉はありがたいというよりは、プレゼント選びをさらに難航にさせてしまう。華恋はますます戸惑ってしまった。

「で、では零さんのしたいこととか、行きたいところとかはありますか?」

「したいことか……」

龍羽はまた顎に手を当てて考えた後、数分後に「結婚式」と呟く。華恋はその単語にキョトンと首を傾げてしまった。華恋は何一つウェディングプランナーと打ち合わせをしたりドレス選びをしていないものの、結婚式は入籍してすぐに済ませたからだ。

「結婚式は、零さんがとても豪華なものを用意してくれましたが……」

華恋がそう龍羽に言うと、「実はね」と言いながら彼は申し訳なさそうな顔を見せる。

「結婚式をどうするのかって話を、華恋さんと零が出会う前に聞いたことがあるんだ。その時、零は「花嫁の綺麗な姿を独り占めしたいから、二人きりで式を挙げたい」って言っていたんだ」
< 146 / 186 >

この作品をシェア

pagetop