この政略結婚に、甘い蜜を
この想いを伝えた時、零はどのような顔を見せるのだらうか。優しく微笑むのだろうか、それとも泣いてしまうのだろうか。想像するだけで、華恋の心は温かくなっていく。

「じゃあ、二人の時間が合う時に零が式を挙げたいと考えていた結婚式場に行こうか。俺も協力するよ」

「はい!よろしくお願いします!」

零が式を挙げたいと思っていた結婚式場の名前を龍羽から教えてもらい、華恋は絶対に成功させるんだと胸を弾ませた。



龍羽に家まで送ってもらった後、華恋は夕食の準備を始める。今日作るのはハンバーグとサラダだ。玉ねぎをみじん切りにして飴色になるまでフライパンで炒め、玉ねぎの粗熱を取る。その間に、サラダに使うレタスやトマトを洗い、切って皿に盛り付けていく。

華恋がひき肉に卵と牛乳、そして玉ねぎとナツメグを入れてハンバーグの形を作っていると零が帰ってくる。

「ただいま」

「おかえりなさい、零さん」

零はパティスリーの箱を持っており、「デザートに食べよう」と言いながら冷蔵庫の中に入れる。
< 148 / 186 >

この作品をシェア

pagetop