この政略結婚に、甘い蜜を
華恋の頭には、あの日のように燕尾服を着こなす零の姿があった。厳かで美しいあの挙式場の祭壇の前に立ち、永遠を誓う。想像するだけで華恋の頬が赤く染まっていった。

「もしかして照れてる?」

華恋が黙っていると龍羽に顔を覗き込まれる。龍羽の顔はどこかニヤついてるいるように見えた。

「か、揶揄わないでください!」

華恋が真っ赤な顔を隠しながら言うと、龍羽は笑いながら「ごめんごめん」と謝る。その頬は赤く染まっていた。

「エミリーと結婚式を挙げる前、彼女も華恋さんみたいに恥ずかしがっていたから懐かしくてね」

「そうだったんですね。エミリーさんのドレス姿、きっと綺麗でしたよね」

「もちろんだよ!世界一綺麗だったよ」

龍羽から結婚式の時の話を聞かせてもらいながら、華恋たちは車に乗り込む。龍羽の嬉しそうな横顔を見ながら、「幸せな結婚式をプレゼントするんだ」と華恋は強く思った。



その日の夜、華恋が結婚式のことを考えながら夕食を作っていると、零が帰ってくる。

「ただいま〜!」

「おかえりなさい」
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