この政略結婚に、甘い蜜を
ふわりと笑う零に胸を高鳴らせつつ、華恋も笑顔で言う。すると、零にジッと見つめられた。

「華恋、今日どこかに行ってた？少し疲れてるような顔してる」

「えっ！？」

まるで探偵のような零の洞察力に華恋は驚き、肩が一瞬震える。だがサプライズがバレてはいけないと、すぐにいつものような笑顔を心がけて口を開いた。

「特に予定はなかったので、ショッピングモールに行ってたんです。ほしいなと思うものは見つからなかったんですけど。たくさん歩いたせいか、少し疲れてしまって」

「そっか。すぐに着替えてくるから、一緒に作ろう」

零は微笑みながらリビングを出て行く。その後ろ姿を見て、バレなかったと華恋はホッとし、胸を撫で下ろした。



リビングを出た零は廊下を歩いていたのだが、その足がピタリと止まる。零の顔からは笑みは消え、どこか苛ついているような表情を見せていた。

「華恋、嘘をついてる。何で嘘なんかついてるんだろう……」

華恋はショッピングモールに行く時は、「新しい服を買いたい」など目的をきちんと決めてから行く。暇だから行くということはない。
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