この政略結婚に、甘い蜜を
「僕に何を隠してるの?夫婦なのに……」

ブツブツと小声で呟く零は、リビングで華恋と会話をしていた時とはまるで別人のようである。苛立っていたかと思うと、今度は泣き出しそうな表情になっていた。

「徹底的に調べるしかないよね」

零はスマホを取り出し、探偵事務所を経営している知り合いに電話をかけ始めた。



零にサプライズで結婚式を用意しようと決めてから、ニヶ月ほどが経った。華恋は今日も龍羽と共に零の目を盗んで結婚式場へと向かう。

このニヶ月で、会場の飾り付けや音楽などをウェディングプランナーと話し合って決めてきた。今日は新婦にとって一番重要なウェディングドレスを選ぶ日である。

「華恋さんが選んだドレスに合うタキシードを俺がちゃんと選ぶよ。ゆっくりドレスを選んでね」

「ありがとうございます……!」

好きな人に見せるためのドレスを選ぶ、そう考えると華恋の胸は高鳴っていく。零に「綺麗」と思ってもらいたい。華恋は頭の中で様々なウェディングドレスを思い浮かべた。
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