この政略結婚に、甘い蜜を
そう言いながら零は華恋のブラウスのボタンをゆっくりと外していく。華恋が「やめてください」と言っても、ボタンはすでに全て外されて下着が零に見えてしまっている。華恋は羞恥から顔がさらに赤くなり、涙で目の前がぼやけていく。

「赤ちゃんができたら、もう何も心配することはないね。男の子かな?女の子かな?楽しみだね。二人でベビー用品を見て、名前を考えて、大事に大事に育てていこうね」

零はそう言った後、華恋の頬や首すじ、胸元に唇を落としていく。拘束する腕の力は強くなり、華恋が泣いても零はキスをやめない。もう限界だった。

「どうして、話を聞いてくれないんですか!!私と龍羽さんは浮気なんてしていません!!私はただ、零さんに渡すプレゼントの相談をしていただけです!!」

泣き叫ぶように華恋が言うと、零はピタリとキスをするのをやめて泣きじゃくる華恋を見下ろす。

「どういうこと?プレゼントって?」

零の手が緩んだ隙に華恋は体を素早く起こし、零の体を突き飛ばす。驚いた零を睨むように見つめ、華恋は走って玄関のドアへと向かった。
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