この政略結婚に、甘い蜜を
華恋がそう思っていると、男性たちはボキボキと拳を鳴らしながら零に言う。

「そんな貧相な体で俺らに勝てると思ってんのか?さっさと嫁をここに置いて家に帰れよ」

「ボコボコにされて、奥さんにカッコ悪いところ見せるだけだぞ〜?」

クスクスと笑っている男性もいる中、零は拳を握り締めて構える。

「弱かろうが何だろうが、自分の命より大事な宝物を手放すことはしないよ。華恋に怖い思いをさせて、絶対に君たちのこと許さないから」

そう零が言い終わると、男性たちの中でもずば抜けて体格のいい男性が「そう言ってられるのも今のうちだけだろ!!」と言いながら零の方へと走っていく。男性が大きく拳を振り上げ、華恋は目を閉じた。

「グエッ!」

情けない声を上げたのは零ではなく、男性の方だった。華恋が目を開けると、男性は地面に倒れて伸びてしまっている。どうやら零は男性の拳を避けた後、その腕を掴んで背負い投げをしたようだ。

「ッ!クソッ!お前ら、全力でかかれ!」
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