この政略結婚に、甘い蜜を
今日はまるで、二人を祝福するかのように青空が広がっている。いい結婚日和だ。

扉がゆっくりと開くとバージンロードが目の前に現れ、その先にある祭壇の前で零が微笑んで待っている。華恋が選んだグレーのタキシード姿に、胸がキュンと音を立てた。

厳かな空気の中、一歩ずつ華恋は零に近付いていく。そして祭壇の前に来ると、零に幸せそうな顔で手を取られた。

「華恋、とても綺麗だよ。今日が今までで一番幸せな誕生日だ」

「零さんも、とても素敵です。私もとても幸せでいっぱいです」

少し見つめ合った後、二人は神父の方を向く。これから二人にとって大切な儀式が行われるのだ。華恋は緊張を覚えながら、神父の言葉を待つ。

「新郎。あなたは病める時も、健やかなる時も、彼女を愛し、共に寄り添い、他に寄らないことを誓いますか?」

「はい」

二人だけの式場に零の声が響く。華恋がチラリと横を見れば、いつも以上に真剣な表情で、それでいて幸せそうに微笑んでおり、華恋の胸が高鳴っていく。
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