この政略結婚に、甘い蜜を
「お、お願いします」

華恋が両手を差し出すと、零はとても喜び、華恋は椅子に座らされる。

「綺麗に塗れるよう練習したんだ」

零はそう言いながらネイルファイルを取り出し、華恋の爪の形を整え始める。零に手に触れられ、華恋の胸がドキッと高鳴っていく。

爪の形を丁寧に整えた後、ベースコートを塗られていく。ベースコートはマニキュアの色素沈着を防ぐために必要なのだ。

ベースコートを塗り終えた後、零はマニキュアの蓋を開けて塗り始める。鮮やかなコーラルは存在感があり、とても可愛らしい。

「可愛い……」

華恋が呟くと、「華恋に似合うと思ったんだよね」と零は嬉しそうに言う。庶民にはなかなか手が出せないお値段なのだが、高いブランドの物だけあって発色がよい。

マニキュアを塗り終えると、仕上げとなるトップコートを丁寧に塗られる。爪の根元までしっかりと塗られ、ネイリストのような仕上がりに華恋は驚く。

「零さん、とてもお上手ですね。お店で働いてほしいくらいです」
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